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イタリア的恋愛マニュアル
 
 

人生を謳歌する達人、恋愛の巧者のはずのイタリア人が書店で「恋愛マニュアル」を買う。考えるだけでおかしい。一体どうして? ーーというよりもイタリアにおける恋愛はそれほどまでに普遍的なテーマで、何よりもまず実行され、飽くことなき情熱をかけて語られ、そして…という永遠のくり返しなのである。それはこの映画を観れば痛いくらいよくわかる。『ライフ・イズ・ビューティフル』で世界中の映画館で人々の涙を誘った名脚本家、ヴィンチェンツォ・チェラーミが3年温め続けたアイデアをもとに、これまでにも単独で、あるいは愛のヒット・メイカー、レオナルド・ピエラッチョーニ(『踊れトスカーナ』)と組んで、数々のホットな恋愛譚を撮り上げてきたジョヴァンニ・ヴェロネージ監督が、満を持して、みずからの40年余の人生でそのあらゆる局面を経てきたという恋愛を四つのレベルに分類し、—つーつをそれぞれ異なるカップルに委ね、アイロニーと叙情をこめ、伝統のイタリア式喜劇へのオマージュの意味をこめて軽やかに、爽やかに描ききった会心の一本だ。

キャストには、現代の愛を語るにふさわしい超魅力的な役者陣が勢ぞろいした。ともに旬を迎えたばかりできらきらとあふれんばかりの才能と人気を兼ね備えたシルヴィオ・ムッチーノとジャスミン・トリンカ。実生活でかつての大物カップルで今はおたがいに円熟の域に達しつつある売れっ子俳優、マルゲリータ・ブイとセルジョ・ルビーニ。テレビや舞台、ラジオ、映画、執筆のすべてで魅せる名人芸を余すことなく銀幕に持ち込んだルチャーナ・リッティツェットと軽妙な味わいが抜群の人気役者ディーノ・アッブレーシャ。イタリアの誇る国民的コメディアンであり監督としても数々のヒットを飛ばしてきたカルロ・ヴェルドーネと清楚な美貌と涼やかな声のアニタ・カプリオーリ。異色の、しかし同時に完璧な組み合わせが見事に機能し、夢と悪夢が交錯し、スリリングではかなく、どんよりとして時に澄みきった恋愛感覚が鮮やかな手際で描き出される。そして、時に不条理の甘い罠と化しながらひとの人格を変えてしまう恋愛の、あの謎の部分を垣間見させるのだ。そんな『イタリア的、恋愛マニュアル』は本国で大ヒットを記録し、ムッチーノ十ヴェルドーネの黄金コンビは映画ファンのアンコールに応えてただちに『わが人生最良の敵』を撮り、ヴェロネージもふたたびヴェルドーネを主役に迎え、モニカ・ベルッチをはじめとした鈴々たるスター・キャストを結集して続編『恋愛マニュアル2』を撮り上げ、おかげで今もイタリアの劇場では圧倒的な喝釆が続いているのである。 だからやはり、愛は世界の中心なのだ。

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1982年4月14日ローマ生まれ、、99年、弱冠17歳で兄のガブリエーレと「Comete nessiino rnai」の脚本(監督はガプリエーレ)を書き、いきなりブルー・リボン脚本賞のノミネーションを受ける。小さな役で出演した「L'ullimobacio」の大ヒットで脚光を浴びたガプリエーレの監督作f私のことを覚えていてズではきわめて重要な役を演じ、強烈な存在感をアピールする。もっとも才能あふれる若手男優の地位を不動のものにするとともに、ヴェロネージ(「Che ne sara di noj」)、ウェルドーネ(「11 mio migliorcncmico」)とは共同脚本を書き、ビデオクリップの監督も手がける等、マルチなタレントを発揮し続けている。06年には処女長編小説"Parlainlcl'ainore(愛の話をしてよ)"も発表。兄は現在イタリアでもっとも優れた若手監督の一人に数えられるガプリエーレ・ムッチーノ。ウィル・スミスが2006年度米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた『幸せのちから』の監督として、ハリウッド・デビューを果たした。

1981年4月24日ローマ生まれ。ナンニ・モレンティ監督の『息子の部屋』で2、500人のオーディションの中から選ばれた。高校卒業後、ローマ大学文学部考古学科に入学。『息子の部屋』でグッリェルモ・ビラーギ賞(イ タリア最優秀年間才能賞)を受賞、注目を集めるがすぐに女優の道を選ぼうとせず、数本の出演を断った後、マルコ・トウリオ・ジョルダーナ監督の大作「輝ける青春」で二人の兄弟の物語の鍵を握る重要な役に出会い、この演技でブルー・リボン最優秀主演女優賞を受賞する。現在もっともチャーミングで実力に恵まれた若手女優として、文字通り引く手あまたである。

1962年1月15日ローマ生まれ。演劇学校卒業後、舞台の経験を経て86年に「La seconcla noUe」で映画デビュー。90年、パートナーのセルジョ・ルビーニ監督作F殺意のサン・マルコ駅』(ブルー・リボン最優秀主演女優賞受賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ最優秀主演女優賞受賞)と、「La settimana della sfiimc」の印象的な演技で一躍注目を浴びる。99年の『もうひとつの世界』(ダヴィッド・ディ・ド`ナテッロ最優秀主演女優賞受賞)ではそのポテンシャルを遺憾なく発揮し、修道女という難しい役柄を豊かな陰影と個性で演じきって、名実共にイタリアでもっとも優れた女優として認められる。今や引く手あまたの魅力と演技力を反映し、『無 邪気な妖精たち。!でブルー・リボン最優秀女優賞受賞を、[わたしの一番幸せな日]とFカテリーナ、都会へ行く』でブルー・リボン最優秀助演女優賞受賞と、受賞歴も豊富だ。

1950年11月17日、ローマ生まれ。重要な映画評論家を父親に持ち、映画実験センターで演出の勉強をする。ロベルト・ベニーニと並んでイタリアを代表するコメディアンであり監督。首都ローマに住む平均的イタリア人像を絶妙に描いた大喜劇役者、アルベルト・ソルディに並び賞される人気と実力を誇る。最近作では持ち前の社会風刺に一層の磨きがかかり、映画作家としての評価も高い。

 
 

愛ほど映画で取り上げられることの多い題材はありません。
哲学者や社会学者、心理学者の分析によれば、愛とは略奪行為であり、盗まれたことに対する感傷でもある、と、分析されています。またある者は、愛とは人間の行動のうち、最も注意深くならなければいけない行動であり、疑いを持って観察されなければいけない行動だ、とさえ言っています。というのも、愛は時に人の性格に極端な変化をもたらしたり、サイコ的行動を取らせたりするからです。

私もいわば愛の犠牲者の一人であり、私はそれを自分のやり方で、皮肉や風刺を込めながら語ることが出来れば、と願っていました。

今40歳を過ぎ、この映画で描いたような様々な愛の局面も経験しました。私は哲学者や心理学者ではありませんから、愛を語るためには愛について考え、脚本を書き、映画を作って劇場に送り出すことにした、という訳です。私は愛が神秘的でどこかダークな感情で、誰にも理解出来ない、というところに惹かれました。それがどんなにつまらない情事でも、あるいは家族の悲劇でも、永遠に続くと思われた関係でも、1日だけのはかない関係でも、どれも人の心に消すことの出来ない傷跡を残すのです。

この映画は私たち皆のことを描いています。愛に捕らわれている時、人はどれだけばかばかしい行動を取るものか。と同時にどれだけ可愛らしく、ナイーブで傷つきやすくなるものか。

すべてが終わった時、愛について語ることはその思い出がどれだけ辛いものであっても、やはり喜ばしいことなのだと思います。
「人はどうして恋に陥ちるのか、その理由など知らない。ただ愛に打ちのめされるだけだ。」

 
 

一一初来日ですが、日本で行きたい場所はありますか。

京都や奈良、鎌倉に行ってみたいです。

一一大学の専攻が考古学だったそうですが。

理論だけではなくて、実際に手を汚して遺跡を掘ったりする、実践に結びついた歴史を勉強しました。そのころは考古学者になりたいと思っていました。

一一女優になったきっかけは?

まったく女優になる気はなかったのですが、ある日、ナンニ・モレッティ監督が、私が通っていた高校に、“普通の若者”を探しに オーディションに来ました。私はただモレッティ監督に会いたくて受けましたが、そこからすべてがはじまりました。

一一その後しばらく、女優の仕事を断っていたということですが。

やはり女優になる気がなかったので、はじめは断っていました。『息子の部屋』は、自分にとって大事な映画であり、貴重な経験でした。モレッティ監督と一緒に仕事ができたし、自分としても満足していたから、それで終りにすべきだと思ったんです。 ですからそのあとにオファーがあっても、台本すら読まずに断っていたんです。でも2年後に、マルコ・トウリオ・ジョルダーナ監督から『輝ける青春』のすばらしい話がきて、断り続けるのもよくないのではないかと思って、引き受けました。

一一今回はいままでと違って、コメディでしたね。

これは私にとって「ゲーム」だったと思うんです。イタリアの場合、俳優のカテゴリーがあって、基本的に私ぱ若くてシリアスな作家監督の映画に出る女優”のカテゴリーに入っていたわけです。だからコメディをやると決まったときには、みんなびっくりして「本当にいいのか」という感じだったのですが、自分としては、いままでとまったく違うものをやることはうれしかったんです。そういう意味では、新しいものに挑戦するという大きなゲームだったと言えます。

一一そのゲームに参加して、いかがでしたか。

なによりも楽しむことができたので、よかったと思います。イタリアでは、この映画はすごく成功しました。外国でも同じようにヒットしてくれるとうれしいなと思います。「なぜシリアスな女優なめにコメディをやるの」と言われていたのですが、なんとかうまく出来たのではないかと思います。コメディと言っても、かわいらしくて、とてもよく出来た作品で、自分ではとても満足しています。

一一海のシーンでジュリアが、トンマーソを好きになっていった微妙な瞬間が印象的でした。どう感じて演じましたか。

海のレストランのシーンですが、彼が嘘をついて彼女が怒るわけですよね。彼は若くてシャイで、失敗もする。でもそこで彼の優しさや、”弱ざに触れたときに、恋愛感情が生まれました。恋愛って、そんなふうに失敗とか間違いとかが起きたときに、偶然生まれてくるものだと思うんです。それ以前に彼女を追いかけてチヤホヤしているときは、そうはならなかったですものね。

一一トンマーソのような男性をどう思いますか。

女性を賛美してくれて、優しくて、彼はとてもいい感じだと思うんです。ああいうタイプの男性は本当はいいはずなんです。でも実際は、女性はそういう男性はあまり受け入れないんです。大抵の場合、女性に対して、振り向いてくれなくて、ヒドい扱いをする男性のほうにけっこう惹かれたりするんですよね。だから彼みたいに優しくて、繊細な人というのは、なかなかうまくいかないわけです。だけど本当は、彼みたいな男性がたくさんいてくれたほうが、女性にとってはいいのではないかと思います。

一一シルヴィオ・ムッチーニさんの印象は?

彼はかわいい感じで、情熱的。大人なのに“子供のまま”みたいなところがあって、何でも自分でやろうとします。映画の脚本も書いて、出演もして、今度は監督もしようとしていて、とてもエネルギッシュです。なかなかそういう人はいないと思うし、私は彼に対して、恋人というよりも、母親みたいな感じで接していると思います。彼とは友だちですから、自然で、気持ちの よい仕事ができました。とても栄誉なことだと思う反面、「なんで私が?」という気もします。人の仕事を評価するわけですから大きな責任を感じていますが、もっとも権威のある良い映画祭のひとつですし、いろんな国のすばらしい映画をたくさん観られるので、とても楽しみにしています。

一一とくに好きな監督はいますか。

いろんなタイプの監督が好きですが、とりわけ、デヴィッド・リンチやダルデンヌ兄弟、フェルナンド・メイレレス監督の作品を観るのが好きですね。

一一将来、監督をやってみたいと思いますか。

元々、女優になりたいと思っていたわけじゃなく、チャンスが訪れて女優になったので、これからも女優を続けていきたいと思うのですが、でも将来、もし別のチャンスが訪れたら、監督業も他のことも、やらないということはないでしょうね。