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『こころの湯』で世界中の映画祭で絶賛された中国ニュージェネレーションの実力派監督チャン・ヤンの最新作。30年間にわたる父と子の確執や親子3人の絆が、静かだが力強いタッチで描かれる。

物語の主な舞台となるのは「胡同(フートン)」と呼ばれる北京の古い町並み。北京オリンピックに向け取り壊しが進められており、まもなく姿を消すという。日本人にもどこか懐かしさを感じる昔ながらの住宅のたたずまいが、全編に漂う郷愁を帯びたトーンを形成している。

また、劇中で描かれる30年間は1976年、1987年、1999年という3つの時代に焦点を絞っているため、時代と家族の変化を如実に見て取れる。まず1976年は、文化大革命により確たる理由もないまま強制労働に従事させられていた父が戻ってくる。幼い息子に自分が果たせなかった画家になる夢を託すのだが、強引に絵を描かせる抑圧的な父に対し、息子は激しく抵抗する。結局、この関係が2人を支配し続ける。

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1987年、息子は父に強制されながら絵の勉強を続けている。スケートの巧い娘と恋に落ち、家出を試みるが父によって強引に引き止められる。1999年、息子は32歳。画家となった彼は展覧会を控えており、一方で妻の妊娠 や両親の離婚など新たな問題に直面する。背景にあるのは文化大革命の終焉から高度成長の現代に至る中国の激動の30年だ。そこには父子の対立だけでなく、父と母の間にある夫婦の価値観の対立もある。それでも最後には親子ならではの関係が見る人を温かい涙で包み込む。

この映画の真の主役ともいうべき父を演じたのはベテラン俳優スン・ハイイン。融通のきかない厳格さの中に、歴史の荒波に夢を踏みにじられた思いと孤独が伝わってくる。しっかり者の母親には『ラストエンペラー』の主演、『オータム・イン・ニューヨーク』の監督としても知られる国際派女優ジョアン・チェン。またラスト近くに登場する展覧会場の肖像画の作者はジャン・シャオガン。その作品がサザビーズで1億円で落札された、注目の中国人アーティストである。

商品詳細

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監 督 : チャン・ヤン Chiang Yang
父はカンフー映画などで知られる映画監督。舞台やMTV演出を手がけた後、98年の監督デビュー作『スパイシー・ラブ・スープ』が大ヒット。その後の『心の湯』『昨天』で世界的な評価を得る。1967年北京生まれ。